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La ricerca della morale che non dipende da una cosa della trascendenza...
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右翼と左翼について

(旧サイトから転載)

こんばんは。すっかりご無沙汰してしまった。

今日はちょっとしたメモ。

政治がらみのおしゃべりになると、必ず出てくるのが右翼とか左翼とかいう言葉だけど、よく使われるということはいいかげんな使い方もされるということで、僕もトンチンカンな使い方をしている人に出会って思わず苦笑いをしてしまうことが少なからずあったりする。まあ、こういうことは学のあるなしに左右されやすい事ではあるけど、いまはネット社会なわけだし、そういう言葉はWikipediaあたりで調べればそれなりにサマになるはずだから、学がないからというのは言い訳としては弱い。でもまあ、そういう「ちょっとしたひと手間」を面倒がる人はやはり多いわけだ。それは、ほれ、ニンゲンのものぐさなところってやつで、化け猫的にはあまり感心しない。つっても、これもニンゲンの本性ってやつだろうから、仕方ないんだろうね。

とりあえず、ここに来た人は解ってるだろうけど、万が一そうでないなら、この際調べておこうね。
右翼
左翼

さて、とはいっても政治的課題が多岐にわたり、その分政治的党派も限りなく細分化されている、複雑怪奇な現代社会のこと。調べたところで迷うことは多い。それに、言葉ってやつは使われるほど手垢が付いていくもの。いろんな文脈でいろんな用法で使われてゆくうちに、どんどん意味が拡がったり、派生的な言葉がくっついたりしてしまって、そのうち理解が困難になる。加えて、さっきも言ったように、よく使われる言葉はいいかげんな使われ方もされるから、そうなると意味は際限なく拡散していき、終いには西田幾多郎の言う「述語的一般者」の域にまで達してしまい、言葉として無意味になってしまいかねない。そんなぶよぶよとふくれあがった言葉で、シャープな切れのある議論を展開しようなど、所詮無理というものだ。

そういう事態を避けるためには、いくつか方法がある。ひとつには、もう専門家に任せてしまって、素人考えで妙な使い方をしないという方法がある。でも、さすがに右翼/左翼という言葉ほど社会生活に密着した言葉となると、そういうわけにもいかない。となると、別の手段を講じなければならない。そこで考えつくのは、やはり、基本に還るのが一番ってことだ。言葉には概念というものがある。要するに、意味の中心というものがある。それをはっきりさせておけばいいのだ。高等数学も加減乗除の四則演算が第一歩なわけだしね。

さて、右翼/左翼の場合だけど、これらは対になる言葉だ。すると、その別れ目はどこってところが、一番基本的なところだろうね。

それを知るには、「手垢が付く」前までさかのぼってみればいい。一種の語源学だ。じゃあ、歴史上最初に、右翼/左翼の分かれ目がついたのは、どこだろうか?……答えは、とても簡単、フランス革命だね。フランス革命で成立した立法議会では、議長席から見て右側にフイヤン派(富裕市民・自由主義貴族を代表:王権維持を主張)が、その左にジロンド派(富裕市民・中流商工業者:共和主義)、そしてジャコバン派(プチ・ブルジョア、貧困市民、農民:共和主義)という具合になっていた。やがてフイヤン派が追放されると、右にジロンド、左にジャコバンという布置になった。

さて、ここまでは分かれ方の見取り図を書いただけだ。肝心なのは、その分かれ目だ。大事なのは共和派同士の分かれ目で、ここが現在まで至る右翼/左翼の分かれ道となる。特に、ジャコバン派が左翼の原義だということはとても重要なポイントだ。

ジャコバン派はルソー主義だった。ルソーは、自身の民主主義論の中心的な考え方として、国民の「一般意思」という考え方をもっていた。「一般意思」というのは全員一致でなければならない。つまり、多数決でもダメ(!)なの。少数派がこぼれ落ちてしまうからね。少数派をも溢さない「一般意思」、そういうものがあると想定した場合、その決定に従うのがいちばん理性にかなった政治ができるということになる。この「一般意思」を重視し、理性崇拝にまで至ったのがジャコバン派だった。

ジャコバン派は政治闘争に勝利し、やがてジロンド派を追放、そして世界初の一党独裁制を確立する。その後の顛末は、なかなか示唆的だ。一党独裁に入ったジャコバン派は、さらに内部分裂を起こし、派閥闘争がひどくなった。しかし、なにしろかれらの辞書には多数決とかコンセンサスとかいう言葉はない(!?)から、話はきな臭い方向に向かう。ここで内紛を収めるのに使われた手段は、徹底的な粛正、いわゆる恐怖政治だった。その中心にいたのが、独裁統治機関の公安委員会で、その中心人物がロベスピエールだったというわけ。彼は近代の独裁政治家のモデルとなった。

ところで、ジャコバン派は彼ら独自の憲法も起草していた。1793年憲法、別名はズバリ、ジャコバン憲法。これは、われわれにとって馴染みのある憲法(俗称ブルジョア憲法)とはよほどちがった趣があるもので、国民(nation)主権を斥け人民(peuple)主権に依拠するなど、まさにルソー流の「一般意思」の考え方を反映した内容となっている。これはのちのちの中華人民共和国憲法なんかの原型とされるんだけど、くわしいことは樋口陽一の本でも読んで勉強してください。

ともあれ、ルソーの「一般意思」は、左翼的発想の本質をなしている。つまり、これを認めれば左翼だし、否認するなら右翼だと、簡単に言えばそういうことになる。英米の保守的な知識人は揃ってルソーを批判し、その思想に導かれたフランス革命にも批判的なんだけど、「一般意思」が存在しないとして、じゃあどうやって国家を領導するのかってことになるわけだけれど、それは「コモン・センス」だ、てなことになるんだね。「一般意思」なんていう理性の怪物より、じっさいにこれまでニンゲンが生きてきた試行錯誤の積み重ね、つまり伝統や共通感覚の方が信頼がおけるという主張だ。

ともあれ、このトピックのなかで一番の基本は「一般意思」の理解だ…と、僕は理解している。そこに立ち返れば、そうそう判断が迷走することはないと思うよ。逆に言えば、そこを押さえない政治談義は、畢竟だらしのないおしゃべりの域を出ないだろうってこと。ネット政治談義の好きな諸君はよくよく弁えておいてほしいね。だらしなくぶよぶよとふくれあがった言葉遣いなんて、いいかげんウンザリなんだからさ。

じゃ、本当にイロハを確認しただけで、今宵はお終い。来月頭にはちょっとしたリニューアルを考えているんだけど、それは出てからのお楽しみってことにしておくよ。

それじゃあ、おやすみ。

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P.S.
一応言っとくけど、僕自身は「一般意思」なんて絵に描いたモチだと思う(象徴界には穴が空いているのだ:笑)し、樋口陽一の政治的立場にはまったく賛同できない。しかし、それとこれとは話が別だからね。左翼思想が嫌いだからといって、こういう基本知識を避けて通って自分が無知になるなんて、そんなのただみっともないだけだし。
L'histoire et Étude|歴史・社会 | 19:29 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | |